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『カッコーの巣の上で』-鍵はもう開いている-【ネタバレあり考察】

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「カッコーの巣の上で」1975年製作

filmarks.com

あらすじ:舞台は精神病院。
懲役逃れのために精神病を装った男、マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)が
病院内に騒動を巻き起こす。
抑圧的な病院の言いなりになっていた患者たちだったが、
マクマーフィーの出現で、少しずつ自我が芽生える。
自分は強制入院のため、期日を過ぎても退院できないことを知ったマクマーフィーは
逃亡を企てるが・・・・

 

感想

ずっしりくる映画でした。でも、とてもいい映画で、
ずっしり来てるだけじゃダメな映画でした。
一歩踏み出したいときに、見るべき映画だと思います。


こっからネタバレあり感想!

 

タイトルにも入れたし、
作品のポスターにも描かれてますけど、
「もう、鍵は開いている」んですよ!!!

あの精神病院にいる患者の多くは強制収容ではなく、
自分の意志で病院の中に留まっているんです・・・

いつでも出られる。
でも、外に出ない。

終盤、マクマーフィーが脱走を企てて、
病棟の鍵を開けた時でさえも、
今じゃない、もうちょっと準備ができたら・・・って

それがすごく切なかった。
でも、すごくわかる。
わかってしまうよ、その気持ち・・・・
身につまされました。

結局、自分の心にかけた鍵の方が重いんだよね。
長年、できないって思って、諦めてきてるから、
いざ、できますよって言われても、信じられないんだよね。

ビリーとか本当に可哀想だよ。
ビリーは吃音症のすごい美少年。
マクマーフィーが連れてきた女の子、
キャンディに恋をして、マクマーフィのお膳立てもあってだけど、
彼女と一夜を共にする。

で、その後、吃音も治ってるんだよ!!!
でも・・・それなのに・・・・
本当にあと一歩のところだったのに・・・・

素人の知識だけど、うつ病とかも治りかけが
一番危険って言うもんね。
きっと、さなぎから蝶になる瞬間みたいに、
自分を守ってきた固い殻から抜け出す時が
一番弱いんだよ。
その時に、ビリーに何てことを・・・・
普通に考えたら、そんなの笑い飛ばせるようなことなんだけど・・・
彼にとってはトリガーになってしまった。

きっとビリーが美し過ぎたから、
お母さんは他の女の人に取られるのイヤって
思っちゃったのかな。
だから、そんな育て方しかできなかったのかな。

そんなふうに思うくらい、美しい俳優さんでした。

キャンディもすごいよね。
私は女性なので、実際にはキャンディのような女性も聖女ではないと思うし、
男性が女性に対して、彼女ほどのものを求めてしまうのはどうかと思うけれど、
綺麗事ではない部分で、きっとキャンディのような存在はずっと必要とされてきたんだろうな…と思ったりした。

後、先住民の血をひくチーフ。
最後、彼だけは脱走できた。
それだけがこの作品の救いだよ。

私も、彼が自分のお父さんの命を絶った説に一票。
彼はきっと、人間が本来の人格や尊厳を失ったまま生きていることに
耐えられなかったんだと思う。
西洋社会とは違う、彼の理屈があるんだと思う。
チーフが最後、あの水飲み場?みたいのを持ち上げたシーン、
本当に嬉しかった。

序盤でマクマーフィーが持ち上げようとした水飲み台。
でも、マクマーフィーは持ち上げられなくて、
「でも、俺は努力はしたぞ」
と言い捨てて、去っていく。

私は今まで、そーゆーのダセェと思ってたよ。
やりとげられないなら、やるなよとか思ってたよ。

でも、今は思う、
「マクマーフィーさん、かっけぇ」と。
ホントに今となって思うけど、
ダセェとか思わない方がいいと思う。
そーゆーことをダサいって思っちゃうと、自分が何もできなくなる。
思いっきり思ってたわー。

今も、そーゆーとこめっちゃあるけど、
マクマーフィーさん待ちしてたなぁってめっちゃ思う。
やろうと思ったらやれることなのに、誰かが背中を押してくれるのを
ずっと待ってた。
誰かが、君にはできるよって言ってくれるのをずっと待ってた。

でも、そんなんじゃダメなんだよ。
逆に言えば、そんなん待たなくても、
勝手にやり始めたらいいんだよ。

マクマーフィさんが鍵を開けてくれても、出られない人がいるってことは、
辛いし、悲しいけど、
もしかしたら、この映画作った人はさぁ、
マクマーフィーさんいなくても出ていけるよってことを
言いたかったんじゃないのかなぁ。

この映画見たら、もうそれで十分だよ。
だいたい、マクマーフィーさんみたいな人って誰?
親?先生?上司?友達?恋人?
そういう人にリアル社会で出会って引っ張り上げてもらうなんて、
待ってたらいけないのかも。

とりあえず、TSUTAYA行こう!!!
TSUTAYA行けば、マクマーフィーさんに会えるから、
行ってください。

まぁ、マクマーフィーさんもたいがい変人なんやけどね。
そんな聖人みたいじゃないよ、もちろん。

なんか、私がそんなこと言えるほど大した人間じゃないけどw
あまりにも映画がよかったので、熱くなって語ってしまいました。
お恥ずかしい。

映画としても、派手な音楽とか演出とか何もないのに、
ずっと引き込まれて、どんどん見てしまう映画でした。
最初は、患者たちがマクマーフィーに心を開いていって、
婦長もだんだんと感化されて、もっと自由な病院になって、
帰れる人は帰って・・・ってなるのかなぁ、なんて思ってたけど、
ニューシネマはそんな甘くなかったっス・・・・

とにかく、いい映画なんで、
ぜひ一度はご覧ください!!!

アイキャッチ画像出典:Photo by Igor Rodrigues on Unsplash